英国研修感想文

イギリスのにわか雨のように、心の準備の出来ていないままそれは始まり、ふと気付くとそれは終わっていた。虹のように僕の心はきらめいているが、虹はいつしか消えてゆく。しかし雨は僕を確実に成長させてくれた――そう、英国研修は僕を変えてくれた。
もっと外国人とコミュニケーションを取ればよかったとか、もっとイギリスのことを勉強していけばよかったとか、後悔を挙げれば尽きない。英語はそれほど困らなかったが、聞き取れなかったり単語を知らなかったりすることはままあった。ウィンチェスターでの毎日はもどかしいものだった。楽しいアクティヴィティーや馬鹿騒ぎもあったが孤独を感じることもあった。知らない人に話しかけるのは苦手だし、自慢できる芸があるわけでもなかった。
それでも数人とは仲良くなった。会話はとても楽しかった。文化や価値観の違いを知った。
授業はウェブデザイン、英国文化、哲学、ディベートを取った。少し難しいものもあったが、どれも面白かった。ただ自分から積極的に参加しなければならないのは感じた。
観光も出来た。英国の味も味わえた。英国の風邪も引けた。英国の劇も観られた。五輪も観られた。
気付けば最終日。一週間ごとに授業やアクティヴィティーで素晴らしい功績を残した人は金賞・銀賞・銅賞をもらえる。その日、僕は銀賞をもらった。夢にも見なかった。涙が出そうなくらい嬉しかった。
その夜はディスコだった。汗だくになって踊りまくった。Discovery Summer――これがウィンチェスターでの研修の名前だ。僕は今、こう感じている――Disco, Very Summer――ディスコはまさに夏だ。焼けるような夏だ。もう二度と帰って来ない、夏......
二週間はあっという間に思い出になった。空は青々と晴れている。遠く東で夕立が僕を待ち構えている。あの蒸し暑さが待っている。しかし世界の事をもっと知りたい。もっとたくさんの人に会いたい。そのためには英語を上達させねばならない。七色の虹がスタートラインを飾っている。虹が消える前に、僕は走り出す。