「全然大丈夫」は正しいのか?

この問題は、NHKで少し前に放送していた「みんなでニホンGO」という番組でも取り上げられていた。この番組よかったな〜。NHKの先進的な日本語研究の成果が出てた。その番組で言っていたことも参考に書いてるのでご容赦ください。

さて、僕は「全然大丈夫」は全然問題ない表現だと思う。
「全然大丈夫」とか「全然平気」ってすごく自然で、全然違和感ないし、むしろ他の言葉で言い換えがきかない。「全然」の微妙なニュアンスがあって、それが「全然大丈夫」っていう表現にあらわれている。

「全然」は単純に「まるっきり」とか「あますところなく」という意味で、戦前は普通に「全然+肯定」が使われていた。

一体生徒が―悪るいです〔出典: 坊っちゃん漱石)〕
母は―同意して〔出典: 何処へ(白鳥)〕

Yahoo辞書「全然」

その後、一部の作家と役所の意見によって、「全然+否定」が規範になったらしい。

ここで、「全然大丈夫」「全然平気」という表現は「まるっきり」とか「あますところなく」とかいう意味ではないと思う。「100%大丈夫」「100%平気」とか言うと、またニュアンスが違う。
辞書には「(話し言葉での俗な言い方)非常に。とても。」と書いている。でも、「非常に大丈夫(?)」「非常に平気(?)」という意味じゃないよね?そもそも日本語が不自然だし。

どういう状況で「全然大丈夫」って言われるか考えてみよう。「言葉を見る」ときは例を見て、いくつも作文してみて、自分で味わってみる、というのが王道です。これをせずに理論上の言葉の正しさを追求してもしょうがない。
(例1)
 母「なんか顔色悪いけど体調悪いんじゃないの?ちゃんと早寝早起きしないと。」
 子「いやいや、全然大丈夫。気にしないで。」
(例2)
 「食堂の料理まずいかな、と思っていたけど全然大丈夫だった。いやむしろ旨い。」
「全然ダメ」の例も挙げます。
(例3)
 「試合であいつに勝てるかな、と思ったけど、全然ダメだった。実力不足だった。」
こんな感じだよね。
だから、僕は「全然」っていうのは「相手もしくは自分の推測に反して」というニュアンスが含まれているんだと思う。「母の不安」とか「自分の不安」とか「自分の期待」とかそういうものに反して、というニュアンスがある。これは「全然」という言葉の持つ強いイメージが影響しているんだろう。
「相手もしくは自分の推測に反して」。これが今僕が一番納得している定義です。みなさんはどう思いますか?納得してくれると信じています。


「全然」は日本語が変遷する過程でこういう微妙なニュアンスを得てきたようだ。
だから、「全然大丈夫」は、「全然大丈夫」だと思います!